学問

文部科学省の議事録も役立つ教材になる。

経済学の95%は過去の解析である。いろいろなデータが蓄積されているが、それらは良くて3年前のものまでである。それまでどうだったかは説明できるが、自然科学者が望まれるのは、われわれに対して将来に向かって社会に働きかけてほしいということである。その場合、過去の知見の延長でしか話ができない。われわれが直接社会に向かって働きかけるということは、学問から逸脱した世界になると思う。経済学は現実の社会を観察の対象にし、関心を持ってもいるが、そこで分かるものにはそれなりの限界がある。社会に働きかけるということは、大きな飛躍になると考える。

実はこれ、学術研究体制特別委員会 人文・社会科学研究に関するワーキング・グループ(第3回) 議事録 の抜粋です。ちゃんと、仕事してますね。

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/old_gijyutu/gakujyutu_index/bunkabukai/bukaiiinkai/gijiroku/1314807.htm

同じ分野内でもいろいろな違いがあるが、哲学と物理という「山の頂点」の部分があり、裾野の部分には人文系と自然系の近い部分が出てくる。医学は自然科学からはかなりはずれてくる。医師の問題、人間特有の問題などがたくさんあり、自然科学だけではなかなか上手くいかない。医学は、人間を生体レベルで考えれば学問として成り立ち結論が出る。しかし、治療となると患者によってまちまちである。だから医術と医学は別物である。逆にいえば医学が今後一番発展するのではないか。医学は人間を扱うためいろいろな問題が出てきており、人文系といっしょにやらないと問題解決できない。しかし、その問題提起は医学からでないとできず、人文系から問題提起するのは難しい。

これも参考になりますね。医者の言葉を鵜呑みにするのではなく、官僚側の思いも理解すると、この社会がどうなっているかヒントをつかむことができます。もちろん、それ相応の事前知識は必須です。

普段は、文部科学省を批判することが多いのですが、省庁レベルで批判しても意味がなく、個別担当者によって、問題の種類が変わりますし、そもそも原因となるインプットは政府与党にある訳なので、キチンと正確に批判する必要がありますね。

Saitoon