漫画を描く前に、ストーリーを考えるうえで、どこまで考える必要があるのかを考えてみたいと思います。
全12話の場合・・・
①1話分
②6話分(または50%くらいまで)
③12話(最終話まで)
結論から言えば、③を行えば、整合性を合わせやすいです。また、伏線が回収し尽くすように綿密な設計を行えます。
冒頭とエンディングを先に考えて、3話ごとに4分割しストーリーを組み上げていく作業になるかと思います。
これをやるメリットとしては、「ネーム作成中ストーリー展開に迷うことがないこと」だと思います。とはいえ、書いている途中でもっと良いアイデアが思いついて、ストーリーを軌道修正したくなるかもしれません。
すでに話を発表していなければ変更も可能ですし、Fateシリーズの「パラレルワールド」形式にすれば、そういった展開もアリだと思います。
今回、設定とプロットにこだわる理由は、物語の大前提となる縛りが、「設定」と「プロット」にあるからです。他の要素は、大きな要素となることはありません。もちろん、絵がきれいに越したことはありませんが・・・。
現実世界でも「議論」を構造化した場合に言えることと同じです。
議論には大きく分けて3段階のアプローチがあります。それは、「世界」「社会」「自分」の3つのアプローチを駆使して、話をすることになります。
ストーリーも同様で、設定の中には、「世界」と「社会」を定義し、「キャラクター」を演技させることで、ストーリーが成立します。「世界」や「社会」というものは、ストーリの前提となるものであり、ここがシッカリしていないと単なるキャラクター同士のコントになってしまいます。
では、最近の日本のドラマを見てみると参考になります。殆どのドラマは、「日本」という舞台で特定の「社会」の上で物語は進行します。半沢直樹でいえば、「銀行組織」という社会の中で、パワーのあるキャラクター達が戦います。
これらは、「日本」という世界観で表現している為、この世界の説明は省略可能です。また、「銀行組織」もある程度知られているので説明が不要になります。
しかし、ファンタジー系ならどうでしょうか?
西洋のような世界観であれば、人間以外の存在があるのか?魔法は使えるのか?等々演技や演出を駆使して、それとなく解るようにストーリーを組む必要があります。
終盤まで魔法なしでストーリーが進み、伏線もなくイキナリ魔法が使ったら、「何それ」となり、読者の共感が得られなくなる等も考えられます。そういうわけで、冒頭何ページかで世界観と社会を説明する部分というのは必ず必要になります。
というわけで、漫画を描こうと思った場合、イキナリ書き始めることは無謀なのかもしれません。まずは、世界観を定義し、主人公がどんな社会に存在しているのかをまず考える必要があります。
そのうえで、どんなキャラクターが存在し、どんな事件が起こるのか?というふうに進めていくと、設定80%、実際に表現される漫画部分が20%くらいかもしれません。
しかも、ただ漫画に表現するのではなく、読者を揺さぶるもしくは、共感させる必要があります。それには、前半は主人公を徹底的にイジメる必要があります。主人公の性格も同情もしくは、共感させられるような人格もしくは、そう成長する必要があるのです。
長々と書いてしまいましたが、設定とプロットで80%の労力を使う・・・のではないかという主張をしたかっただけです。もちろん、時間的な要素は作画のほうがかかると思います。ただし、作品の良し悪しは「設定とプロットで80%決まる」と思っています。
まとめると、
設定とプロット = 戦略
作画 = 戦術
となります。もちろんどちらが不足しても、読者にソッポを向かれるので両方必要な要素です。
そして、ある程度絵がキレイでないと読んでもらえないという現実があります。
Saitoon